札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

    そもそも山小屋な湯宿

     道道66号を走り、国民宿舎雪秩父の辺りに差しかかると、放屁のような匂いがぷーんと車内に漂う。「きたきた、この匂い。屈斜路湖から川湯温泉へ向かう道中でも、味わったね」。存在感のある硫黄の香りが、今宵の湯宿へ誘(いざな)ってくれる。

    五色温泉橋展望台から宿を望む
     標高750メートルに位置する五色温泉旅館は、ニセコ連山の登山口にあり、湯の良さで全国的に人気が高い。5月中旬の周囲は残雪が目につき、厳しい自然環境を感じさせる。
     1930年(昭和5年)頃に開設された宿は、現在の経営者が1973年(昭和48年)から継いでいるようだ。昔々は道路が冬期間閉鎖されたため、スキー場からリフトを乗り継いでスキーで客がやってきて、雪見風呂へドボンとしゃれこんだという「ホンモノの秘湯」だったが、近年は除雪のおかげで冬も車で行ける上、1998年(平成10年)には、ログハウス風のこぎれいな建物に生まれ変わった。

    宿名入りゆかた
     アルバイトチックな私服姿の男性スタッフに応対され、通された本館の客室は、築10年ちょっとのこざっぱりした風情だ。窓外のデッキから、イワオアンヌプリの美しい景色を望めるものの、デッキ&窓の汚れが目立った。布団は客が勝手に敷く仕組みで、夕食は18時、朝食は7時30分(冬は8時)と決まっている。
     この湯宿は、そもそも登山客に愛されている山小屋の位置付けと受け止め、必要以上のサービスを求めなければ、浴衣やバスタオル、歯ブラシも揃っており、客室に冷蔵庫完備、ポットは電気式だから夜中にカップラーメンもOK、洋式トイレ&洗面台付の客室の環境は、なんて快適なんでしょう、と感じるかしら。




    白濁の湯 お風呂三昧

    湯面
     体を洗った後、ざぶり湯に浸る。ああ、気持ちいいな。しばし酔いしれた後、湯色を眺めつつ匂いを嗅ぎ、舌先でなめ、肌触りを確認するとともに、静寂な空間に響く湯口から注ぐ湯の音色に耳を傾ける。いわゆる五感(視覚、嗅覚、味覚、触覚、聴覚)で、湯を楽しむ。

     男女別に、展望風呂からまつの湯があり、含フッ素・食塩・苦味-硫化水素泉の鮮度の良い湯が注ぐ。白濁しているが、湯抜き掃除した早朝は、透明だったりする。別館の風呂も味わえるとあって、宿泊客は3ヵ所の浴室をはしご出来るというわけだ。これは忙しい。嬉しい悲鳴である。個人的には別館の風呂(本館とは別の源泉)が穴場な感じで良かった。

     ちなみに、冬期間閉鎖の混浴露天風呂は、まだ雪に埋もれて入れなかった。過去の温泉ガイドブックを拝見する限り、木造りだったからまつの湯が、ピカピカに生まれ変わってしまい、この湯宿の渋い風情がまた一つ亡くなってしまったと感じただけに、この混浴露天風呂が昔の風情を残す「最後の砦」のような存在と思う。



    「素朴な感じが好きです」

    夕食
     宿指定の18時、1階食堂で夕食を楽しんだ。一気出しゆえに、焼いたエビがぬるいのは仕方ない。刺身は解凍し切れていないため、醤油に漬けて、〆に白米に乗せて食した。名物らしい山菜鍋は、可も不可もないという感じで、なんとなく宴は終了した。

     2食付8,550円だし、なんと言っても山小屋ですから、と思った。で、翌朝5時、北海道の夜明けはいやはや早いなあ、と痛感しつつ、からまつの湯へ行くと、他の宿泊客がいらっしゃたので、挨拶から会話に発展した。

     聞けば、この湯宿の常連客で、五色温泉旅館の湯に惚れ込んだそう。この方に対し、「夕食は、あともうひと押しな感じ。内容が寂しかったですね」と言えば、「うん、わたし、あの素朴な感じが好きなんです」。食の好みはいろいろだな、と勉強した次第。



    5月中旬は穴場

    夜の外観
     ニセコはリゾート地として全国に名を馳せ、夏は登山、秋は紅葉、冬と春はスキーで、オールシーズン賑やかなイメージがある。でも、冷静に考えれば、どこかに必ず「シーズンオフ」があるはず。
     
     ゴールデンウィーク明けで春スキーは終了、登山にはちょいと早い5月中旬は、空いていた。本館の宿泊客は3組だけで、日帰り入浴客も予想よりは少なく、イモ洗い、という感じではなかった。誰もいない夜の露天風呂で、空をじっと見つめると、星がたくさんあって、きれいだな。

     現在の五色温泉旅館の姿について、誰もが気軽に楽しめる湯宿に進化した、と受け止めるか、昔の渋い風情がどんどん失われて物足りない、と感じるか、人々の思いはさまざまだろう。ひとつ言えるのは、札幌から車で2時間くらいで、ナイスな自然環境の下、いい湯が味わえる。これは確かだ。

     別館(素泊まり3,615円・6室)は、満員御礼だったことを付記しておく。みなさん、登山客だったらしい。

    アンヌプリのリフト降りてから頂上までスキーかついで登って、滑って降りて温泉にドボンしたことが何度もあります。冬の除雪が完璧になった頃から、建替えが進んでいったように記憶してます。昔は混浴でしたし。

    遠い昔の、懐かしい思い出の中だけ、古臭い温泉宿の佇まいが残っています。

    2010.06.23 21:35 URL | じゅん #MvSKUjhA [ 編集 ]

    じゅんさん、スキーで行ったことあるのですか! 苦労して行かれた分、雪見風呂に入浴した嬉しさもひとしおだったと推察します。
    私は今回はじめて訪れたので、昔の風情は写真でしか分からないのですが、味わいある風情の湯殿だったのだな、と思っています。

    2010.06.24 07:00 URL | いっち #- [ 編集 ]

    良い佇まいですね ニセコはチョッとかすめた程度で、未湯地域で課題地区 地元旭川から行くと道路事情が厳しいので、高速で渡島まで一気に行く事が多い。

    イオウの香りが感じられる湯船の画像にうっとり 何時かはニセコ集中的に廻りたいと思いました。

    2010.06.24 23:27 URL | いわ #GYDvwQPg [ 編集 ]

    いわさん、こんばんは。
    わたしもニセコ、これまでほとんど巡っていませんでした~
    確かに旭川からだったら、時間かかりますよね。
    湯が良かったです。それに思ったほど混んでいなかったのも好印象でした。タイミングが良かったとオモッテマス(笑顔)
    チャンスをつくって、今度は向かいにある山の家に泊まってみたい今日この頃です。

    2010.06.25 22:50 URL | いっち #- [ 編集 ]

    こんばんは、おぉ五色に行かれたのですね!
    ここはお風呂だけ利用ですが冬場だとなんともいい湯加減で
    ついつい水分持ち込んで長湯してしまう「魔性の湯」と呼んでいました。
    ただ、残念ながらスキ―シーズンは車がないと辿りつけないという難点が・・・
    (いつもヒラフからぐるっと道道を回ってたような)

    さて、一通りいっちさんの旅行記拝読させて頂きました。
    気になっていた宿の9割を網羅されていたので
    大変ありがたい情報となりました。
    特に第一滝本館ですが、いっちさん同様「食わず嫌い」な部分が私自身にもありまして、
    大きな器=大勢で行くところという思考でしが、宿側の工夫を知り候補に入れました。
    現在の候補地
    ・湯宿だいいち(時期的に一人受け入れ可能
    ・ニセコ湯本(紅葉音という宿にして雪秩父日帰りハシゴを目論む)
    ・旭岳温泉(ラビスタ大雪山泊で日帰り湧駒荘神々の湯)
    ・登別温泉滝本館泊でお風呂三昧&タクシーで虎杖浜、白老ハシゴ目論む)
    連泊予定なのでこれでもかっ!というほど温泉を堪能したいと思います。
    長々とすみませんでした。
    でも定山渓も気になっています、渓流沿いの温泉地・・・大好物なので

    2010.06.28 21:03 URL | かのん #DeipKTKk [ 編集 ]

    かのんさん、いらっしゃいませ。五色の湯=「魔性の湯」は、含蓄のある表現ですね(笑顔) 私も次は冬に訪れ、雪見風呂としゃれこみたいと思いました。

    11月に計画されているご旅行ですよね。当ブログご参照、嬉しいです。
    【湯宿だいいち】朝食バイキングの質・量にびっくり。夕食かと思いました。
    【ニセコ湯本】紅葉音は一度は行ってみたい湯宿です。雪秩父のお風呂、いいですよ~
    【旭岳温泉】ラビスタ大雪山のフランス料理は美味い! でも湧駒荘の料理も美味い(笑顔)
    【登別温泉】第一滝本館・・・その良さに気づかれましたか! 先日、泊ってきたばかりです(笑)
     なお、登別駅→虎杖浜(湯元ほくよう)まで、タクシーで片道1,500円くらいかかった記憶があります。湯元ほくようから電話でタクシーを呼んだら、20分くらい待たされました。バスも本数が非常に少ないですし、アクセスするならば、登別駅からレンタカーが無難かも知れません、と老婆心です(笑顔)

     そうそう、定山渓もいいですよ。オススメは・・・ と話は尽きないですね(笑顔)

     候補先はどこも素敵でこぎれいな湯宿だとオモイマス。旅の計画を練っている時って、わくわく楽しいですよね。私まで楽しくなってきました。またのご訪問、お待ちしております。

    2010.06.29 07:31 URL | いっち #- [ 編集 ]












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