札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

     この湯宿のキーワードは「美味い食事」「あふれる透明湯」「鄙びた風情」かしら。


    化学調味料は使用せず

     4代目主人が腕を振るう食事は、随所に技が光る。「前菜」を見ただけで、一目瞭然だ。

    手の込んだ前菜
     湯宿で食す前菜は、「量もちょっぴりだし、大して美味しくない」とあまり注目されない。いわゆる地味な存在だ。しかし、ちゃんとした料理人は前菜に力を注ぐ。「あっしはこういう腕前でございます。どうぞ、ごゆるりと堪能くださいまし」。客に対する料理人のメッセージが、前菜に込められている。だから、前菜が手製で美味ければ、その後に続く料理も総じて当たりのケースが多い。
     前菜に既製品を並べている湯宿では、他のメニューも「何をかいわんや」であろう。

     この湯宿は謳っている。「味を一定にするような化学調味料の類、既製品のものはもちろん、保存料や着色料などの不自然なものは、私たちの料理には使用しないことにしております」。夕食時、テーブルに置いてあった飲み物メニュー表に記してあった。夕食メニューは毎月少しずつ見直し、旬の食材を織り交ぜているようだ。



    湯に細工なし

    湯があふれる(本館男性浴室)
     加水、加温、循環、塩素系薬剤は一切行っていないという「細工なしの湯」にざぶり。透明な単純泉(源泉7本の混合泉)が湯船を満たし、ゆるやかに溢れていて、こざっぱりした泉質だった。

     本館も新館も湯船がぽつり1つあるだけで、浴室のデザインに目を引くものはなく露天風呂もないものの、夜中に1人静かに湯を味わう贅沢は味わえよう。



    風情ある本館 一部客室リニューアル

    渋い
     宿泊手続きする新館は鉄筋の造りで、素っ気無い外観だ。一方、本館は大正&昭和時代に建てられ、風情を感じる。2階部分が現在も湯治棟としての機能を持ち、素泊まりで値段も安め(宿泊料は未確認)ゆえ、長年の常連客のほか、車で15分の地にあるスキー場の客も泊まるみたい。2階をちらり拝見したが、10円を入れるガスコンロや流しがあり、館内では湯治客と思われるシニア層を見かけた。
     「風情がある」の言い方を変えれば「古い」のだが、共同トイレはウォシュレットだし、使用しないドアは布をかぶせておしゃれに見せるなどの工夫を感じた。

    鉄瓶
     泊まった客室は、1階の一部客室をリニューアルし、一般客用に整備したらしい。炉の炭火で鉄瓶の湯を沸かし、お茶をすするって、なんだか古き良きニッポン人を体感しましたなあ。

     スタッフの応対は素朴で自然体な感じ。夕方、玄関先でシニアな女性湯治客と話をしたのだが、夕食時に私の席まで食事を運んでくれて「あれー、スタッフだったんだ」と1人で笑う。私服姿だから勘違いしてしまった。
     帰りに最寄バス停(宮城蔵王ロイヤルホテル前)まで送迎してくれた20代とおぼしめき男性は、初々しくすがすがしい応対で印象に残っている。聞けば女将の孫という。

     「化学調味料」と「塩素系薬剤」がともに不使用の湯宿って、希少価値が高い。風情を残しつつ快適に改修するなど、4代目主人を中心に頑張っているようだ。もしも仙台市民だったら、常宿にしちゃいそう。これで10,650円なのだから。












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